2022.08.03
- 観光
おススメは早朝! スーツに革靴でも行ける 日本一?駅近の滝 「布引の滝」
以前、「海」に一番近い新幹線駅は徳山駅(山口県)ということを耳にしたことがありますが、それであれば「滝」に一番近い新幹線駅は新神戸駅、かもしれません。
新神戸駅は滝に一番近い新幹線駅、いや日本一近い鉄道駅(※)ではないかと思うくらいに、滝がすぐそこにあり、あっという間に自然あふれる深山幽谷の雰囲気が味わえます。
今回は、そんな“駅近”の滝「布引の滝」の楽しみ方についてご紹介いたします。
※ 本当に日本一近いかどうか検証していないので、ぜひどなたか検証してみてください
駅から15分、空き時間で気軽に散策できる「布引の滝」
「布引の滝」とは1つの滝ではなく、新神戸駅に近い方から「雌滝(めんたき)」「鼓滝(つづみがだき)」「夫婦滝(めおとだき)」「雄滝(おんたき)」の4つの滝をまとめて「布引の滝」と呼んでいます。
新神戸駅からは、最も遠い「雄滝」まででも徒歩15分。途中の「雌滝」までは舗装された歩道が整備されているので、出張で神戸に来られた際の空き時間でも楽しめるのが、「布引の滝」の大きな特徴です。
新幹線の待ち時間の間に行くこともできますが、おススメは宿泊した翌朝の散歩のひととき。
朝早くホテルを抜け出して、「布引の滝」まで出かけた時のルートと、道中の様子をご紹介します。
新神戸駅から最初の「雌滝」まではわずか5分!
まず、お泊りのホテルから、徒歩か地下鉄で新神戸駅に向かいましょう。
地下鉄新神戸駅から新幹線方面へ向かうと、1階に出て駅の看板が見えます。新幹線に乗る人はエスカレーターで改札や店のある2階に上がりますが、「布引の滝」に行く人は中に入らずすぐ右へ。
右手に進むと、バス停のある広場があります。広場の向こうへ進みます。
広場の向こうには車道があり、壁面に「布引の滝 0.4KM」書かれた大きな道案内があります。
案内に沿って、そのまま車道を進み駅の高架をくぐります。
駅の高架をくぐると道は右に曲がります。
いきなり坂道ですが、めげずに上りましょう。すぐに緩やかになって道なりに進みます。
前の場所から1分ほどでレンガ造りの橋に着きます。「砂子橋(いさごばし)」という名前で、1900(明治33)年竣工とのことですので、120年以上も現役の橋です。
橋を渡ると道が左右に分かれますが、ここは左に曲がります。
すぐに、道が左から、広場に向かう道、舗装された道、階段道の3つに分かれています。どの道を通っても最初の目的地に行けますが、スーツに革靴の皆さんは、舗装された道を道なりに進んでください。
なお、早朝だと左手の広場でラジオ体操を楽しむ人たちに出会えるかも。
木々に囲まれた道を進むと…。
最初の目的地「雌滝(めんたき)」です。落差約19m。ここまで駅からわずか5分で到着です。
滝は木々の向こうに垣間見るような格好になっています。
青々とした木々と白い滝、そして滝の音が爽やかな風情を演出していますが、もう少し木が少なければ・・、とも思うところです。
「雌滝」から「鼓滝」を通って「雄滝」まで、歴史を感じながら歩く
この先は一部に舗装されていない箇所があり、革靴でも行けなくはないですが、快適に歩ける運動靴やウォーキングシューズを履いていくのがオススメです。
「雌滝」を見学して振り向くと、上へ向かう階段道があるので、これを登ります。登りきると道に合流するので、左に曲がります。
左に曲がっても階段道が続きますが、ほぼ見えている範囲で登りは終わりますので、もう一息がんばりましょう。
登りきると渓谷沿いの心地よい道に変わります。
土の道ですが、これなら革靴でもOK、という方は先に進んでみましょう。
なお、途中で「鼓滝(つづみがだき)」の表示がありますが、木々に遮られていて音が聞こえるのみです。
眼下の渓谷から聞こえる、鼓を打つかのような滝の音に耳を澄ませてみてください。
さて、歩いていると、道端にご覧のような歌碑がいくつも建っているのに気づきます。案内板があるので読んでみると、昔、国語や歴史の教科書で見たことのある人の名前が次から次へと現れます。
実は平安時代、このあたりは都の貴族がこぞって訪れる一大テーマパークのような場所だったそうです。
景勝地でありながら、京都から近い上に、山に入ってすぐ、という好条件が揃っていたのですね。
上の写真は小倉百人一首の撰者である藤原定家の歌碑。駅を出てすぐに見つけることが出来ます。
大迫力の「雄滝」に到着!滝を眺めながらお茶屋で一服はいかが?
渓谷沿いの道を進むと「雄滝(おんたき)」に到着です。
ここまで「雌滝」から約10分、駅から約15分、やっぱり近いですね。
下の写真内の手前が「夫婦滝(めおとだき)」、奥が「雄滝」です。「雄滝」の落差は約43mですが、周りの岩壁が大きいのでもっと落差があるように見えます。
上流に布引貯水池があり、日によって水量に変化があります。この日は、雨の後だったので普段より少し多めの水量でした。
ここから引き返してもいいのですが、せっかくなのでもう少し先に進みましょう。
滝の右手にある階段道を上ります。
登り始めて1分ほどで「おんたき茶屋」に到着です。
「おんたき茶屋」は、1915(大正4)年開店の老舗で、車が入れない山の中にもかかわらず、おでんや湯豆腐、ラーメンなど様々なメニューをいただけます。
平安時代には、ちょうどこのあたりから滝を観ていたそうで、平安貴族と同じ優雅でぜいたくな時間を過ごすのもいいですね。
なお、ここの住所は「布引遊園地」となっていますが、これは明治・大正のころに一帯がリゾート地として開発されていた名残で、当時はこのような茶屋がいくつもあったとのこと。
展望台から神戸の眺望も楽しめる
茶屋の脇からさらに奥に進むと、すぐに道に合流するので左に曲がって数分ほど登っていくと、「みはらし展望台」に到着します。
神戸には、市民が早朝の出勤前に山に登る「毎日登山」という独特の文化があります。
ここ「みはらし展望台」もその拠点の一つで、毎日早朝に多くの市民が麓からここまで登ってきます。
これを1年間欠かさず続けると365回、10年なら3,650回となりますが、何と2万回以上登った方もいらっしゃるとのこと。
早朝の山の中なのに意外に人が多いと感じるかもしれませんが、それはこのような背景があったのですね。
さて帰りは、来た道を戻ってもいいですが、案内表示に従って階段道を下れば、約15分で新神戸駅に戻ることができます。
駅近で神戸の自然と歴史・文化を味わって
皆さんも、神戸へお越しになったついでに、駅近の大自然と千年を超える歴史と独特の文化をぜひ味わってみてください。
また、三宮から大阪まで電車で30分もかからないので、大阪へご出張の方も神戸に泊まって早朝の神戸を堪能してから出張先に向かわれてはいかがでしょうか?
なお布引の滝は、神戸の有名スポットの一つなので、魅力的に紹介した記事がたくさんあります。最後に、この夏の最新情報が掲載された記事をいくつかご紹介します。
JR西日本では、主要駅で配布しているおでかけガイド「西Navi」の8月号で、布引の滝が大きく掲載されています。「駅からすぐ!」と強調されているのがうれしいですね。
▽ 西Navi はこちら : https://www.jr-odekake.net/navi
新神戸駅に乗り入れるシティループバスとポートループバスを運行する神姫バスによる、「かたる、つたえる、つながる」をコンセプトに兵庫のいいものを発掘するメデイアEC『Local Prime』でも、布引の滝が丁寧に紹介されています。
▽ 『Local Prime』記事はこちら : https://local-prime.com/news/nyunobikinotaki/
「布引の滝」に訪れたいと思ったかたは、ぜひあわせてご覧ください。
文・写真:神戸観光局
お話を伺った方々:六甲歴史散歩会代表 前田康男さん / おんたき茶屋 山口公子さん / 神戸市総合インフォメーションセンター センター長 潮﨑孝代さん